一富士二鷹三茄子は東名高速のかっ飛び

2023年になった。毎年毎年、新年一発目のツーリングがマンネリ化してるので、今年は一発どえらいツーリングにしてやろうと思ってたんだけど、漠然としててイマイチ盛り上がりに欠けてたところ、富士山の初日の出の話を聞いて、ああ、富士山はいいよね、やっぱり一富士二鷹三茄子というくらいだから縁起がいいよね、そうだ、富士山を見に行こう、行こう行こうそうしよう。そこで、どこから見えるのか調べたら、やっぱり浜名湖あたりからなら見えそうなので、浜名湖の方に行って、鰻丼食って帰ってくることにした。が、しかし、気が変わったのであった。そう、毎年毎年、新年元日に見てる某モーニングショーの初日の出富士山ライブを見ちゃったんである。あれを見たら、浜名湖から見る富士なんて小さいこと言ってないで、全貌が見えるところまでいったろかいか、という気になっちゃった。なっちゃったけど、正月は大寒波襲来する予報で、そんな中を高速道路かっ飛ばして行くなんて、まさしく自殺行為ではないか。ただでさえ、異常気象の大寒波で、日本海側はとんでもないことになってるのに、無理無理、そんなの無理、大人しく浜名湖でいいじゃん。そうだよ絶対にその方がいいよ。デラさぶっ、死ぬ寒いもう死ぬやっぱり来なきゃよかったうちでこたつに入ってブルボンアルフォートのリッチミルク食ってればよかったって絶対後悔するに決まってる間違いなく後悔する確実に後悔する。で、やっぱり浜名湖にして、では出発しようと思ったんであるが、どうにもテンション上がらんなー新年一発目のツーリングで天気もいいのに、テンション駄々下がりなのはなぜなのか。ふっ、そうさ、わかっているのさ。自分が逃げてるのがわかってるのさ。あーだこーだと言い訳して、手頃な距離のツーリングで安全圏内でこじんまりまとめようとしてるのが、自分でわかってるんだよ。これじゃあいけないってわかってんだよ。人は歳をとる。オレもいつのまにかいい歳になっちまった。分別をわきまえなければならない大人になっちまったんだよ。大人になるってのは、不自由さを受け入れることなのさ。はっ、都合のいい言い訳で自分の怠慢を正当化する術を身につけちまったオレを笑ってくれよ。カーツ大佐は言った「本当の自由を知ってるか? 自分にさえ束縛されない、本当の自由を」本当の自由を、新しい年の始まりから放棄しちまっていいのか。星真一先生は言った。「安易な手法に安住するなかれ」新しい年も、安易な近所のルートに安住しちまっていいのか。否。否なのだ。千度繰り返しても否。よろしい。行こうじゃないか。未知なる世界へいこうじゃないか。分別なんぞクソ喰らえ! 後悔上等! 本当の自由を獲得すべく、正月寒波が襲来するこの1月2日に、富士山麓目指して東名高速かっ飛び作戦決行だぜ! 誰にもオレを止められないゼェー。

ということで、前置きが長くなったが、完全防寒装備で出発する。寒波を避けて出発時間は日が昇ってきた頃合いを見計らった。装備は当然、最終兵器電熱ベストをユニクロ極暖ヒートテックとユニクロライトダウンジャケットでレイヤードする完璧仕様だ。革ジャンパンパン皮パンパンパンなんで、極暖ヒートテックが若干分厚いのがキツいんだけど、防寒のためだから我慢しよう。そして、忘れてならないネックウォーマー、これがあるだけで体感温度がかなり違うんだぜ。良いこのライダーのみんな、ネックウォーマー標準装備で寒さに負けないツーリングにしようぜ。

出撃機体は、当然、旗艦CB1300SFライアン・ストーン号だ。久しぶりなんで、バッテリーが心配だから、年末からしっかり充電して、前日には空気圧とチェーン掃除&給油もした。準備万全だ。新型ガレージから引っ張り出して、エンジン一発始動! キュルキュル・・・ボボボーーーん、あれちょっと元気ないぞ大丈夫か。うーむ、やはりこの寒波侮れんな。しっかり暖機してから出発した。

まずはガソリンを入れる。いつものコスモ石油に行くと、時間がいつもより遅いから、車にバイクが2台給油してた。バイクの若者はモダンレトロ系のバイクで、スイングトップにデニムパンツだよ。若いなー寒くないんだねー自分もあのくらいの頃は股引もなしでGパンで走ってたもんな。ディスカウントストアで売ってたパチモンのスポーツブランドのスキージャンパー着てさ。ようやっとったなー。今じゃ無理です。ガソリン入れたら出発する。(給油ルーチンは略させていただきます)

国道19号線をインター方面に走っていくと、電光掲示板には、御殿場2キロ渋滞の文字が光ってた。とりあえず、富士山まではカンケーなさそうだな。事前に調べたんだが、この時間なら、新東名高速を走れば渋滞はないようなので、そのルートを使おう。インターに入ると、東京方面に向かって走っていく。

時間との勝負でもある今回のツーリング、初めからかっ飛びだぜ。高速道路新制限速度+αで仏智義理のかっ飛び体制でぶっ飛びだぜ。ガンガン行くぜ、マジで誰にもオレを止められないぜー。テンションアゲアゲのせいか、全然寒くないぜ。いや全然寒くないというのはウソです。けれけども、相当寒いのを覚悟してきた割に、意外に普通に寒い程度だったんでよかったよ。これはやはり、電熱ベストの恩恵が大きいな。それとネックウォーマーだ。交通量も少なめで、全車両が相当ハイスピードで走ってくれてるので、その流れに合わせてまさしく一騎当千の走りで突き進む。一騎当千って意味ちがうくね?

全開バリバリでかっ飛びの最強ホンダマシーンが音速の壁を突き破るかと思われたその時、後ろから現れたのがベンツであった。黒いベンツSLが後ろから急速接近してきたのだった。ふっ、アウトバーンで鍛えられたベンツの最強モデルSLか。相手にとって不足はないぜ。どっちが最強なのか、思い知らせてやるぜ! 行くぜ! ギアを1速落としアクセル全開でタコメーターが跳ね上がると、一気にワープゾーンに入った! どうだ! ついてこれるか! そしたらベンツは上郷SAに入って行った。ふっ、見えなくして以下略。

このあと、赤いBMW850iとか、ワーゲンGTiとかで、おんなじようなことしてました。すんません。 新年早々、全然進歩してないことがバレてしまった。

バトルもどきしてて新東名へ乗り換え地点を通過しちまうところだったが、無事、新東名に入った。入ってすぐわかるのが、明らかに新しい。路面もきれいだ。道路の規格が明らかに大きくて広い。これは走りやすい。ペースを落とすことなく、制限速度+αを維持してかっ飛ばしていく。実に順調な走りで、相当寒いんじゃないかと思ってたのに、ほとんど寒くない。指先が凍って感覚なくなると思ってたのに、そんなこともない。新東名は山の中を走ってるから、寒いかと思ってたんだけど、これは今日は最高についてる感じだ。この作戦大成功の予感だぜ。でも、マジで噂通り、新東名は山の中で実に風景的にはつまらんな。

出発から1時間過ぎて100キロを超えたので、そろそろ休憩しよう。混雑している大きなSAを避けて、空いてそうな遠州森町PAに入った。入ったら車が駐車場で渋滞してた。それを避けてバイク駐輪場に行くと、バイクを止めて、売店に行く。さすがに新しい高速道路なんで、PAでも施設は充実してた。トイレも広くてきれいで、フードコートもあるしコンビニみたいな店もあった。そこそこ混んでた。売店でホットゆずドリンクを買って飲んだら、ストレッチして筋肉ほぐしてから出発した。

そこからもトンネルが多い新東名をかっ飛びで、巡航速度は制限速度+αを維持して突き進む。時々、前が詰まったりして速度が落ちることがあっても、渋滞はなく、タラタラ運転もなく、ノンストレス、ストレスフリーな高速道路移動だった。

清水ジャンクションで東名高速に戻ると、やっぱり古い高速道路な感じがムンムンで、狭いし路面もゴツゴツだし、帰りも新東名で帰って方がいいかなーと思った。でもジャンクションを間違えるとトンデモもないことになるからちょっとこわいな。

東名高速に入っても、巡航速度は変わらず、しばらく走っていると、いきなり前方に富士山の山頂が現れてすぐ消えた。おお、ついに富士山が見えたぜ。もう少しだぜ。最終ポイントの富士川SAに着いたのはそれからすぐだった。

めっちゃ混んでた。上りの富士川SAは楽市オアシスが併設されているので、観光客がいっぱいだ。バイクの駐輪場には先客が2台いた。車がひっきりなしで入ったり出たりで、駐車場の警備員がたくさんいて、新年早々お疲れ様ですよ。が、しかし、ここから富士山は全然見えない。見えないわけではないが、観覧車に乗れば見えるんだろうけど、ヘンタイ風ライダーが一人で観覧車乗るってどうよ。っていうか、そん時間ないからな。さっさと売店で水分補給して、再び走り出す。

富士川のスマートICで降りるとその後が大変なんで、何年か前に経験済みですわ。道がわからんくなるんだよ。ここで降りないで、次の富士インターまで行ってそこで高速道路を降りた。降りたらセブンイレブンに入って、この後の作戦を練る。とりあえず、なんか食おうかと思ったけど、おにぎり全滅状態なんで、諦めて飲む点滴森永甘酒缶を買って飲んだ。そしたらウィーヒック、おへはまにほわいものないろーふるへえあまれにゃははははー、やばい。アルコール度0にもかかわらず、またしても酔っ払ってしまったぞ。こうなったらイケイケゴーゴーで、来た道戻って、下りの富士川SAに行くぜ。

セブンイレブンを出て、降りたインターから再び高速道路に入った。そして、富士川SAに突撃であった。ついに最終目的地に到達したぜ。やった、オレはやったんだ、己に克ったんだ。真冬の極寒の高速道路を2時間以上も走って富士山の麓まで来るなんて、やれるわけないと思ってた。どっこい、それが嘘っぱちだったって証明してやったぜ。ガハハハ、勝利の雄叫びをあげて、バイク駐輪場にバイクを停めたら、展望台の方に歩いて行った。ついに一富士だぜ。世界遺産登録の日本一の山だぜ!

しかし、世界遺産は雲に覆われていた。なんだと。何も見えないじゃないか。そんな馬鹿な。ここまで来たのに、肝心の富士山の姿が拝めないんじゃ、全然ダメじゃねえか。おかしい、そんなはずはない。絶対に大成功間違いなしだったのに、なぜだなぜなんだ。その時、かつて富士山ツーリングに行った時に、地元のライダーに教えてもらった情報を思い出した。富士山は朝か夕方に見に来るのがいい、昼はほとんど雲がかかって見ることができない。まさしく、今はお昼だった。みんなご飯食ってるからSAの食堂は満員御礼だった。そうなのだ。着いた時間が遅かった。途中のSAかPAでちょっと見えた時は、まだ昼前で雲がいなかったんだ。だから見えたんだ。そして今はもうお昼だから、雲の中なのだった。幸か不幸か、ほとんど風がないから、雲が流れていくこともないだろう。そうだ。全てが徒労に終わったのだった。絶望的な結果に、呆然自失となるしかなかった。勇気を持ってここまで来たことが大切だなどと、言い訳めいたことを言ってもダメなのだ。オレは負けたんだ。勝負をかけてここまで来たが、目的は果たすことができなかったのだ。天を仰ぎ、力無く、膝をつく。しょせん、これがオレなんだ。負け犬のヘンタイライダーさ。イキがって出てきた挙句にこの有様さ。笑わば笑えさあ笑え。仕方がない、負け犬根性を抱えたまま、失意のどん底で帰るしかないようだ。もうダメだ。力尽きた。このままここで土に帰ろうか。

その時であった、奇蹟が起こった。雲がぐいぐい動き出して、富士山がその姿を表したのだった。

うおおおおおおおおーーーーーー富士山が、姿を表したーーーーーーーーー! 世界遺産のおおおおおおおおおーーーーーふじいいいいいいいいさんがああああああああーーーーーーーー!!!

あーたまをくもおのーうーえにーだあしーーーーーしいーほおのやあまをみーおろおしいてー、と日本人なら誰でも歌える歌詞の通り、雲が山の途中にかかる、最高に富士山らしい光景が目の前に現れた。これは、オレ様の勝利だ! 勝った! 勝ったんだ! 買った! 買ったぜ! そう、いろいろ買ったよ、去年もいろいろ買ったよ、マジで煩悩炸裂の一年だったけど、今年も買ったぜ! まさしく、勝利の雄叫びを挙げて、いや違うその買ったじゃないよ、勝負に勝ったんだよ。誤解されるじゃないか、欲望のままに無駄遣いするヘンタイライダーだと思われるじゃんか。まあいいか、本当のことなんだから仕方がない。とにかく、富士山が出てきてくれてよかった。ついでに一富士二鷹三茄子も達成した。(冒頭の写真ね)これは2023年、幸先いいぜ。

目標達成、ミッションコンプリーツしたので、とりあえずなんか食おうとしたら、お昼時なんで、フードコートは満員御礼行列渋滞、仕方がないからセブンイレブンに行って、食い物を探したら、おにぎりの品揃え凄すぎるたな満タンなんでこんなにあるのみんな買わないのかよ、よりどりみどりだぜ、でも一個だけにして、割引券があるからフランクフルト買おうと思ってレジに行ったらフランク売り切れ作ってるもうしばらくお待ちくださいだった。仕方がないからおにぎりとお茶食って飲んだら、とにかく早く帰らないと一気に暗くなって寒くなるからな、あ、でもおみやげは買おうと思ったらレジが渋滞、客が売店内を2周してる大渋滞、道路は渋滞してなかったが、こんなところで大渋滞、諦めてバイクに戻ると、早々にSAを離脱した。

東名高速をかっ飛びで、帰りも新東名を走るつもりだったが、ジャンクションを通過しまったので、まあいいや、東名で行こう。がしかし、帰りは向かい風が凄まじかった。行きが順風満帆だったのは、文字通り順風満帆だったからなのね。電光掲示板には横風注意の表示が出まくりで、牧之原SAまできてちょっと休憩しきゃならんかった。そこで買えんかったお土産を勝った。勝ってどうするんだよ、買うんだよ。買ったのは安倍川餅です。これが間違いない鉄板おみやですよ。ほっほっほ。勝者のよゆーですよ。

しかし、よゆーで帰れると思ったら、ガソリンが足りんくなってきた。急速に燃料計の目盛りが減っていくのであった。やはり巡航速度が高速すぎたか。これは経済燃費速度にしたほうがいいな。速度をぐっと落として進む。ガンガン抜かされるけど仕方がない。往復450キロくらい無給油でいけると判断したが甘かったようだ。

事態が改善しないので、情報収集のために豊橋のPAに入ってスマホで距離を調べた。うーむ、残りの距離がきわどい。仕方がないので上郷のSAで給油することにした。給油すると決まったら、もう燃費走行する必要なんぞないぜ。再びかっ飛びで進んで、上郷のSAに入ると、満タン給油した。19リットルくらい入っちゃったよ。あぶねーあぶねー高速道路でガス欠なんで、新年早々やらかすところだったぜ。危機を回避したからには、あとは一気に帰るぜ。急速に気温が下がってきて、どんどん寒くなてきた。やばい、急いで帰ろう。

そして、予定より若干遅れたが、無事に家に帰ってきた。

こうして、無謀な作戦と思われた一富士二鷹三茄子作戦は見事に成功したのだった。

そして、勝利の美酒ならぬ、勝利の和菓子をいただくのだった。

本日の出費

ゆずドリンク 145円

甘酒 118円

おにぎりとお茶 235円

お土産 1200円

本日のCB1300SFの走行距離 440キロくらい

累計のCB1300SFの走行距離 37770キロくらい

sunshinebreakthrough

You're runnin' through my vein You're my sunshine

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