七年ぶりの鳳来牛を喰らう新城
昔々、あるところにネクラSFプログレ少年がおりました。ネクラSFプログレ少年はネクラだったので、休みの日に遊んでくれる友達もおらず、一人でプログレを聴きながらSF小説を読みまくっておりました。そんなSFオタクが必ず通る道に大作嗜好がありまして、とにかく長いことはいいことだ、超長編SF小説が読みたい、内容よりも、とにかく長いものを読み切った自己満足が優先する本末転倒な嗜好なんでありますが、究極の長編SFとなればドイツSF界の誇る無限列車ならぬ無限長編ペリー・ローダンシリーズ、あるいは単独作家では最長といわれる銀河辺境シリーズ、などなど貪るように読み、日本ではオタクがそのまま妄想を吐き出しているだけで作家になってしまった栗本薫のグイン・サーガ、伝奇ロマンなどという訳わからんけどなんかそれっぽいレッテルでその気になっちゃった妖星伝、あるいは老ボケ作家の大言壮語ホラ吹き的作品、80巻どころか18巻もできず未完で終わった太陽の世界、そうなんだよ、どれもこれも完結してないんだよ。あ、妖星伝はなんとか完結させたけど、例の講談社事件のおかげでやっつけ仕事になっちゃったらしいけどさ、とにかく当時は完結していなかったもんで、ちゃんと完結してる大作はないかと思って探したのだが、該当したのがフランク・ハーバードの傑作、とにかくとてつもない歴史的傑作、デューン砂の惑星でありました。1965年にアナログサイエンス誌に発表されネビュラ賞ヒューゴー賞両賞を受賞した傑作、あのアメリカSF作家のBIG3の一人であるロバート・A・ハインラインをして『最も巧みな作品である』といわしめた傑作、史上初めて、SF小説が文学としても価値を持ち得たと正当に評価された傑作、兎にも角にも、破格値の傑作、桁違いの傑作、それがデューン砂の惑星なのである。で、当時のハヤカワ文庫で全4巻で出てたのを買ってきて読んだんだけど、確かに素晴らしかった壮大でまさしくSF叙情詩だった。でも挿絵が残念だったのと(このイラストレーターの他の作品の出来の評価とは別の話だ)訳者が残念だったので、その辺りがわだかまりが残ってしまったのだよ。1984年にツイン・ピークスで大当たりしたデビット・リンチが映画化して、スティングが出演したので話題にもなったけど、コレはもう見た人ならご存知のごとく、評価としては大変よくがんばりました程度のものになっちゃって、あの奇才リンチでもこの有様では、やはり映画化など無理なんだよ、ということで、記憶の奥深くに沈んでっちゃったんだけど、実は、2016年に新訳が出たんだよ。全3巻とキリのいい数字になって、訳者もイラストも格段に良いものに変わって、装丁も実に歴史的傑作らしくなって、かつてのネクラSF少年の血が騒ぐ訳ですよ、もちろん買って読んだんだよ。いやーほとんど忘れてた記憶違いだらけだったことを検証する結果になったけど、大人になってからこういう話を読むと、色々な政治的事情がわかるので面白いよな。で、ここからが本題だ。新訳が出たとはいえ、残念ながら所詮は古典作品なんだよ。東海道中膝栗毛とか源氏物語の世界なんだよ。スター・ウォーズの元ネタであるとか言っても、今の世代にはスター・ウォーズが現在進行形なんで、古典的名作のスペース・オペラであったバロウズの火星シリーズ、あの作品も某ネズミ帝国がその帝国の信者のなんたらランドのお布施による芳醇な資金源を元にブイブイ言わせて映画化したけど、ものの見事に大失敗、歴史的赤字作品(なんと2億ドルだぞ、当時のレートで約160億円)の烙印を押されてしまったけど、古典を映画化するとそういう目に遭うんだよ。にもかかわらず、この大作デューンをまたしても映画化するというのだから、ハリウッドも懲りないねー。しかし、である。YouTubeで予告編を見たけど、もうねすげーよコレ、やはりハリウッドは違うよ。いやがおうにもなく期待は膨らみ、某大コケ作品のことなどすっかり忘れて公開初日に見に行っちゃった。某大手流通の映画館に行って見ちゃったよ。観客は3組だけだったけどな。公開初日に3組。やっぱり万人向けの作品ではないと改めて確信したのだった。で、上映時間155分、見終わった感想は、コレは素晴らしい作品だった、に尽きる。3部作だとは知らなかったもんで、つづくになった時はびっくりしたけど、ちゃんとした作品にするなら3部作にしたのは正解だ。でもなーちゃんと作ってくれるのかな。そういうところ、ハリウッドはシビアだからね。興行成績次第で続編中止とはヘーキでやるからな。と心配してたらネットに、上映中に爆眠できる映画とか書かれっちゃってたけど、お前ら何を期待して見に行ってんだよボケ。いいか、ジョン・カーターにしろ今度のデューンにしろ、見るべきなのは由緒正しいネクラSF少年時代を過ごしたおっさんのノスタルジーに浸ることができる層なんだよ。現在進行形で映画を楽しんでる連中はマスカレードナイトでも見てろ。ああ、しかし、続編は2023年だというから、ちゃんと完成してくれることを祈るしかないのか。もどかしいなあストレス溜まるなあ。どうしてくれよう。そうだ、ツーリングにいこう。ということで、ツーリングに行くことにした。
さて、週末の天気は晴れでバイク日和なのだが、このところ急速かつ深刻な冷え込みで、秋の行楽シーズンツーリングシーズンはどこへ行っちゃったのか。でも今日はなんとか気温も20度まで上がるのでいい感じだぞ。早めの時間に起きたらまっちゃん特製ポテト入りミックスベジタブルインオムレツタイフーン風を食ったら、やるべきことを片付けて、準備して実家新型ガレージに行く。そして、ライコで買ったエアゲージで空気圧チェック、前日からつないでおいた充電器を外してバッテリーもバリバリだぜ。引っ張り出したのは最強HONDA CBR600RR/ABSだ。久しぶりなんでプレクサスでちょい磨いてから、エンジン一発始動! 吠えるインラインフォア! 唸るエクゾースト! 今日も絶好調だぜ! よし、全開バリバリで行くんだぜ!
まずはガソリンである。ガソリンの価格は、原油の深刻かつ急速な高騰により、信じられんような価格になっちゃてるんだけど、それでも最安を目指して、いつものコスモ石油に行く。いつものところが一番安いはずだからな。今日の目的地から考えると、高蔵寺方面のコスモ石油に行った方がいいんだけど、割引率とかポイントカードの兼ね合いで、いつものコスモに来た。そこで、一連のルーチンをこなしてハイオク百六十九円169円169円意地で170円の大台を回避したような価格設定だが、それで11リットル入れた。前回、平湯遠征で260キロ走って11リットルだから、長距離巡航はやはり伸びるな。今日はそうはいかんけどな。なぜなら、今日の目的地は鳳来寺だからである。鳳来牛を食うのである。肉の日に肉を食うのである。そして、今日は平日なのである。なぜ平日に休みなのか聞くな。平日は業務用交通量が多いから道が混むんでたらたら走りが多いのである。そこで一生懸命早めに出てきたけど、どの程度効果があるかはこれから検証できるぜ。
満タンになった最強HONDAを発進させる。来た道を戻って、庄内川を渡って瀬戸方面を目指して走っていく。国道155号線を南下して、瀬戸市街に入り、名鉄瀬戸線の踏切を渡ると菱野トンネルを潜って菱野台を越えて国道248号線に入ると、そこから豊田方面に走っていく。この辺りの通勤ラッシュはなんとか回避できたようで、スムーズに走ることができた。体感気温もほぼ冬装備できたので寒くはない。天気は上々、青空が広がってきて申し分ないぞ。このまま順調に進めばいいがと思った矢先、大畑町の交差点辺りで渋滞にはまった。うーむ、やはり三河の大都会、豊田市に向かう車での渋滞は回避できんかったか。なんとなく、ちょうど通勤時間だもんな。それでもタラタラ進んでくれたので、なんとか篠原工業団地の信号で渋滞が終わり、そこから順調に進んでいく。それでも1時間かかって豊田市街に入った。豊田市駅の付近は通勤中の人たち、通学中の人たちでガヤガヤしてた。ちなみに、右往左往の挙句に力尽きて閉店に追い込まれた松坂屋豊田店は、看板もなく他の業態へ改装工事が全力で行われてた。専門店は健在です、営業中です、と必死さが伝わる垂れにが悲壮感が丸出しだった。
豊田市街に入って、豊田市の心臓部でもあり、三河の心臓部でもあり、ある意味、日本の心臓部でもあるトヨタ町の交差点まで来たら、世界最大の日本企業の本社に出勤する莫大な数の人材たちが、脇目も振らずに早足で歩き、巨大なビル群、あるいは広大な工場群に吸い込まれていくのだった。すごいなーまるで民族移動みたいな光景だな、と関心しきりに横目で見ながら走っていく。もっと渋滞するかと思ったトヨタ町出会ったが、意外にガラガラで、みんな車で出勤してないのかな。
トヨタを過ぎて岡崎に入る。交通量はそれなりなので、ほぼ制限速度程度の進行だった。反対車線はビチビチに渋滞してた。これがトヨタ向きの車通勤なのかな。そんな状態なので、いつもの見えなくしてやるとかバトルもなく、淡々と岡崎市内で国道1号線に入った。ここまで2時間かかっちゃったぞ。早めに出てきたからいいもの、普通に出てきたら大変なことになってたな。国道1号線はそこそこの交通量で、それなりの速度で進んでいくと、前を走ってる紺色のセダンがいきなりブレーキを踏んで止まりそうになってびっくらこいた。止まりそうになりつつまた動き出して、そしたまた止まりそうになって、何してんだコイツ、ちょっとアブナイやつなので車間距離を空けた。どうやら道を探してるようで、なんでしょうかね、こんな幹線道路でそういう動きはやめてもらえませんかね。田舎の住宅路じゃないんだからさ。しばらく走ってたら、結局最後もいきなりブレーキ、急停止、申し訳程度のウインカーを出して左折していった。運転手は案の定、じーさんだった。ホント頼みますわ。
国道1号の道の駅、藤川宿に入って一旦休憩しよう。なんだかタラタラ走って、道を探して厚顔無恥な運転する高齢者に遭遇して、ストレス溜まるわー、一旦休憩しないといかんぞ。コンセントレーションが乱れる。駐車場のバイク専用スペースに止めたら、なんか飲みたいなーと思ってお店に行ったんだけど、ホットの飲み物がないのでやめた。急に寒くなったからホットが間に合ってないんだな。バイクスペースに戻ったら、HONDAのゴリラが止まってた。それもカリカリチューンドなモデルでボアアップしてあるようでピンクナンバーになってた。足回りは完全に別物でこれは走りそうなゴリラだよ。改造費100万くらいかかってそうだな。目の保養になった。休憩してコンセントレーションも戻ってきたので出発する。
国道1号線をどんどん豊橋方面に走って、御油あたりまで来たら、姫街道に入った。その交差点にあるマクドナルドでコーヒータイムにするつもりだったが、想定以上に時間がかかっちゃってるのでここなパスする。下手に入ったらコーヒだけで済まんわな。そしたら今日の豪華ランチに影響するからな。姫街道を走って、県道377号線県道21号線に入って新城を目指す。途中、自衛隊演習場、本宮の湯、オサレカフェなど通過して、イノアックの工場があるところで国道151号線に合流すると、あとはひたすら鳳来寺を目指して走る。順調に進んでもっくる新城に着いた。駐車場にバイクを止めたらモンキ−125とハーレーのでかいのが止まってた。ここのランチも良さげなので、実際にどうなのか偵察に行ったら、普通にフードコートだった。平日なのに客も多くて活気があるから、食いもんもきっと美味しいのだろうなあ。テレビでやってたながーいバームクーヘンも売ってたぞ。でも冷凍品だったからちょっとガッカリ。ここでランチの誘惑はあったが、がしかし、今日はランチはキマっているので、情報収集したら道の駅を後にした。
そこからは道も空いているのでかっ飛んで走って行く。国道257号線になって、山の中の道を快調に走って行く。あっという間に湯谷温泉まで来たぞ。久しぶりの湯谷温泉だ。愛知県唯一の温泉街だからな。ちょっと寂れてきてるけど、いや、かなり寂れてきてるけどな。かつてよくお邪魔した炭火焼きの温泉旅館は廃業してもう幾年やな感じで、唯一、旅館はずグループが頑張ってくれてるから、応援したいんだけど、ここの宿代、総じて高すぎるんだよ。おまけにおひとりさまお断りみたいなところもあるからな。駅前までやってきて、記念撮影したら、早々に引き上げることにしよう。途中にある、哀愁漂う鉄道旅情満点のJR飯田線の踏切付近の湯谷温泉唯一のお土産店はまさかの金曜日定休日だと、なんで金曜日休みだわけわからん。そんんわけで見るものないから、早々に引き返すことにした。
トンボ帰りみたいになっちゃったけど、こうして今日の目的地、コンタク長篠までやってきた。駐車場はすでに半分くらい埋まっており、平日なのに人気なのであった。狙いは鳳来牛焼肉なのだ。レストランの開店時間にはまだ時間があるが、すでに人だかりができていた。マジか。あれみんなレストラン開店待ちなのか。想定以上に人気なのであった。ここうまいもんね。久しぶりに来たもんなー健在でよかった。うまいものは続くのであった。行列に並んで待ってたらポスターが目に入った。見たことある人だと思ったら、なんと、若い頃お世話になった森高千里さんじゃありませんか。50歳すぎても変わらないとか言われてますけど、いやー全盛期を知ってる世代としては、やっぱり10代の森高最強伝説ですよ。格が違ったもんね。新城でコンサートをやるのか。当日券ありますってそんなに売れてないんか。ちょっと寂しいものがありました。
そんなことを考えてたら開店した。厳しい体温チェックをして手指消毒して入店した。ちなみに、並んでたけど入店の混乱で順番なんぞなし崩し、今日の客は行儀悪いな。一人焼肉なのに4人席に案内されて恐縮ですが、混んでるので早く注文しなけりゃと思って、お冷を持ってきたねーちゃんに速攻で「Aランチ!」と注文したら、ねーちゃん「そこのタブレットで注文してください」と言われてしまった。なんと、しばらく来ないうちにIT化してたよ。タブレットで急いで注文したら、注文したと同時に料理がきた。なんという速さだ。でも焼肉なんだからそんなもんだわな。あらかじめセットしておけば早いもんな。やってきた焼肉を、いそいそと網焼きで焼くのであった。あれ網焼きか? 昔鉄板だたよな。いつの間に網焼きになったんだ。まあいいや、程よく焼いで食う。激うまなのであった。かぼちゃにんじんたまねぎもちょっと焼いで食う。激うまなのであった。キャベツは生で食う。激うまなのであった。あっという間に平らげてしまった。くーたまらんやはり鳳来牛は最強なのだよ。デザートに柿も食って満足でした。会計する。店長らしき人に、網焼きにわかったんですねと聞いたら、もうかなり前に変わったらしい。久しぶりに来たんで、7年ぶりに来たんで、と言ったら驚いてた。よし、これで肉の日に肉を食う作戦コンプリートだ!
お店を出てバイクに戻ると、帰りのルートを調べる。Googleマップでルート検索して、帰りは山越えにした。交通量の多い幹線道路をちんたら走れるかってんだ。ということで、国道257号線を設楽方面に進むぜ。流石に山の中の国道、交通量が圧倒的に少ないからガンガン飛ばせる。行きのストレスを吹っ飛ばす勢いでかっ飛ばして行く。地元ナンバーのクルマもガンガン走って行くのでそれに合わせてかっ飛びだぜ。くーいい感じだぜ誰にもオレを止められないぜー。でも道がわからん。止まった。もう一度スマホを見てルートを確認して走り出す。後ろからすっ飛ばしてきたKawasakiがあっという間に見えなくなってた。ふっ以下略。
国道257号線から国道473号線維スイッチする。こんな三河の3桁国道の400番台国道を走るのも久しぶりだぜ。なんか落石注意とか電光掲示板出てるもんで盛り上がってきたよ。途中で通行止めとかあるらしいけど大ジョーブなのか構わず走っていく。いつの間にか後ろに現れたのがロータス・エランだった。このタイトコーナーが連続する400番台国道で勝負してくる気か? いいだろう、このHONDA最強マシンがロータスのクルマなんぞ過去のクルマだってことを教えてやるぜ。すぐに見えなくしてやるぜ! 行くぜ、アクセル全開! 激しいバトルを繰り広げるのであった。で、なんとか香嵐渓までやってきた。ロータスはいなくなった。ふっ、見えなく以下略。(編集部注;今更ですが、多分香嵐渓で止まったのだと思いますよ)紅葉はまだ早いので香嵐渓はガラガラだった。もうすぐ紅葉のシーズンになったらここは近寄れんところだぞ。山道のバトルに神経を費やしたので、ファミマでコーヒータイムにした。クーポン券があるから30円引きだもんね。ロータスもぶっちぎった(ような気がする)、バリバリの走りで満足したのだった。
コーヒーを飲んだら、再び県道を繋いで山をこえ、藤岡から瀬戸に入って帰ってきた。
本日の出費
焼肉 1280円
コーヒーとパン 200円
本日のCBR600RRの走行距離 200キロくらい
累計のCBR600RRの走行距離 30900キロくらいかな
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