right here,right now 東北ツーリング #7

天気予報は晴れになっていたので、それを信じて4時に起きたら、部屋中に広げて干してある数々のものを、大急ぎで撤収片付け梱包したら、毎度お馴染みのサンドイッチ朝食を済ませて、歯を磨いて顔を洗って、まだ乾いてない革ジャン革パンを履いたらちょっと冷んやりでずっしり重くて、とても不快なんだが仕方がない、走って乾かそう。全て完了して速攻チェックアウトだ。駐輪場に置いてあるばいくの所へ行ったら、そこで干して置いたモンベルのカッパ他も回収して荷物の上にネットでくくりつけた。もう使わないからホテルに捨ててもらってもいいけど、今はほれいろいろゴミ捨てもうるさいから、自分で片付けることにした。長年使ってきたものだしね。
出動準備完了で、ホテルを後にする。後にするのだが、いきなり道がわからん。困ったな。一応朝、ナビで確認しておいたんだが、すっかり忘れてしまったよ。年取ると脳みその働きが悪くなるのう。行き先が蔵王だから、すくなくとも東ではないはずだが、いつのまにか朝日の方向に走っっているんで、これはどう考えても間違ってるだろう。表示も松島とか塩釜とか、全然逆の地名になってるぞ。一旦止まってもう一度ナビを確認したが、なんかややこしい道を指示してきて、覚えられるわけがないだろ。アホ。見ながら走るわけにいかんし、こうなったら勘と度胸や、ワイの長年のツーリングライダーのスペックを見せたるで、驚いたらあかんで、あかん全然わからん。ダメや。もうダメや。仙台おそるべし、金沢も迷宮だが、仙台も迷宮であった。
が、しかし、なんだかわからないうちに国道4号線に出てたので、もうこうなったらこの幹線道路で走っていくしかないぜ。この国道の行き先は福島だが、蔵王やめて福島に行こう。どうせ、なんか天気悪そうな空だし、念のため天気を確信したら、宮城福島は晴れなのに山形は雨予報だった。よし、もう蔵王やめ。別に蔵王にこだわっていたわけじゃないから、湯釜見たかったけど、また今度ということで。
国道4号線を走って、福島なら、そういえば一本松はどうなったっけ、と思って見に行くことにした。国道6号線に乗り換えて、確か鹿島の駅の近くの海岸だったから、そっちに行って見たけど、それらしいものはなく、代わりに、広がる田園風景と、風力発電の巨大な風車、そしてメガソーラーの見渡す限りのソーラーパネルだった。なんだか未来を感じる風景だった。いや、未来と言っても明るい未来じゃないな。こんな太陽や風に力に頼らないと電気が作れない、科学技術の行き詰まりを感じさせる光景だ。人類がもはや下り坂に入っていることを暗示させる光景だ。これが昭和の描いた未来なら、夢みたいな新しいエネルギーが開発されて無尽蔵に人類の発展の謳歌してる感じだったけど、平成を過ぎた今日この頃、細々と自然エネルギーに頼って節約してる悲しい未来しか浮かんでこないよな。だからSFのジャンルが衰退するのだよ、横田順彌先生。

一本松は見当たらんので、諦めて、こっちに来たから、やっぱり東北で鍾乳洞は外れないと思うので、あぶくま洞に行くことにした。ナビで検索して、なんかよくわからんので、2010年度版のツーリングマップルと照らし合わせつつ、ルートを確認し走って行ったら、電光掲示板に「この先、自動二輪通行できません」と表示されていて、これはなんか工事でもやってるのかなと思って、別ルートで県道34号から国道114号線に入ることにした。で、そのルートを道に迷いながら走って行ったら、もう少しで国道114号というところで、通行止になっていた。それが通行止の理由は工事でも土砂崩れでもないのであった。通行止のバリケードの前に立っていた交通警備の人がやってきて沈痛な表情でこう言った。「この先、放射線の濃度が高いのでバイク自転車歩行者ははいれません、迂回してください。」マジか。マジなのか。他県民にとってあの事故はもはや遠い過去に忘れ去られていたが、なんということだ、ここ福島では未だ現在進行形であった。坂道を下りつつある人類を暗示させるような光景の次は、現実のリアルな夢のエネルギーの成れの果てであった。迂回路は県道257号線で、その先に高速道路があるからそれでこの辺り一帯をパスしてくれ、という事だった。高速道路は使いたくないので、別のルートがないか探してウロウロしたんだが、結局、どのルートを使っても通行止に引っかかるので、いっそのこと、来た道を戻って国道4号線を使って大きく迂回して行くしかないようだった。それでは時間がかかりすぎるので、諦めて高速道路を使うことにした、こういう時のためにETCを標準装備にしたからな。インターを探してそこから高速道路に入った。いわき市方面に走って行く。途中、高速道路から大量に積み上がられた巨大な黒い袋詰のものが整然と並んでいる光景が見えて、あれが汚染土壌か、マジであんなにあるのか、ものすごい数が、地平線の彼方まで積み上げられていた。

高速道路脇に表示された電光掲示板は「只今の放射線 0.1」「只今の放射線量0.2」「只今の放射線量0.7」「只今の放射線量2.8」とドンドン増えていくのだった。どの量がどう危険なのか全然わからんけど。問題の地域を過ぎたらどんどん減っていった。そして、高速を降りて、一気にあぶくま洞を目指す。うねうねの山道を走って、滝川ダムを横目に、工事交互通行を過ぎて、途中、何もない山道に突然現れたコンビニで、昼飯がわりにおにぎりを食って、さらに先を進むと、ようやくあぶくま洞に到着した。予定より大幅に遅れたが、なんとか着いたからよしとしよう。

あぶくま洞のバイク駐輪スペースにバイクを止めて、バイクは10台くらい止まってたよ、人気だよな、車はもっとたくさん止まってたけど、夏休みだから近所の子連れが大勢来てたみたい。種入道に入り口まで歩いて、チケットを買って中に入った。外の気温がそれほど暑くないから、というかバイクで走ってると寒いくらいなんだけど、ヒンヤリの感じはなかった。ホントは暑い暑い死にそうだぜ、くー、鍾乳洞は涼しい生き返るーみたいな展開を想定してたんだけどさ。中は東北の鍾乳洞らしい、短いけど見所いっぱいな鍾乳洞だった。特に人気なのは一番奥の宮殿みたいな鍾乳石の集合体だ。みんな必死にスマホで写真を撮ってるので渋滞になってた。行列に並んで待っている間、ポタポタと水滴が落ちてくるので上を見たら、天井の鍾乳石もまた素晴らしい造形で、その背景にいくつもの水滴が落ちてくるのが、雨のスローモーションみたいに見えて、この世のものとは思えない、映画の特殊効果撮影を見ているみたいだった。すごかった。これが一番すごかった。並んで見た一番奥の鍾乳石もすごかったけど。
短い鍾乳洞だが、そんなわけで結構時間食った。バイクに戻って、裏磐梯に行くのにルートを調べると、時間が押し迫っている。このままでは裏磐梯を見る時間がなくなってしまうぞ。裏磐梯は必須であった。仕方がない、時間短縮する方法は一つしかない、ワープだ! このCB1300SFに波動エンジンが標準装備されたからな、今、金を払わなくてもワープできるんだよ、すごいでしょ。もう一回高速を使っちゃったから、なし崩しで使っちまえ。一番近くのインターから、磐梯高原まで一気に跳んだ。さすがワープ航法、速いぜ。
磐梯山まできたら、五色沼からの展望を見に行く。いつものコースだな、天気が怪しくなってきたので、必須の火山博物館だけ見ることにした。ここの、入ってすぐの所にある、アナログな昭和の遺物的な磐梯山の噴火の実演ジオラマの放送がすごく好きでさ。初めて聞いたのが1989年だから、もう30年近い前からまだ稼働してるんだぜ。昭和の力強さっていうのか、昭和の製品の物持ちはいいよ。お金かけてあるよ。ショボいけど。それが聞きたくてここまできたんだから、聞かないわけにはいかないなあ。入場料を払ってチケットを買って中に入った。で、実演ジオラマの動作スタートボタンをポチった。すると、またしても、あの大げさなバカバカしいくらい大真面目な放送が始まって、改めて磐梯山の噴火の凄まじさを感じることができました。勉強になりました。ちなみに、館内の最近の火山というコーナーでは御嶽山の噴火の件が明細に綴られていた。

さて、肝心のものは見たので、ホテルに行こう。昔有料今無料のゴールデンラインを走って、途中、雲の間から日が差し込む猪苗代湖が実に見事で神々しいくらいだった。写真が撮れなかったのが残念です。まあ、撮影しても後で見たらこんなんじゃない、となるに決まってるけどさ。

予定のチェックイン時間ギリギリでホテルに着いた。ここのホテルが屋根付きというかピロティーというか、一階部分にバイクの駐車場があるのだ。それがいいと思ってここにしたんだけどね。そして、チェックインして荷物を整理して、すっかり乾いた革ジャン革パンから、外食用の服に着替えて、晩飯を食いにいった。晩飯は近くの郷土料理を食わせてくれる大正浪漫な店だ。建物の雰囲気は最高だね。一番安いコースの郷土料理を注文したけど、どれもすごく美味しかったよ。特に昆布巻きがうまかった。食ったら店を出て、商店街を見に行こうと思ったんだけど、もう終わってたよ。しまったーこういうところの商店街は閉めるの早いんだった。くっそー色々面白そうな店があったのに、食う前に見るべきだったな。でも、お腹空いちゃってたもんね。仕方がないね。また今度、早い時間にチェックインして見に来ようと思います。
コンビニ寄って明日のサンドイッチを買って、ホテルに戻ったら風呂に入って寝た。


本日の走行距離 377.5km

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