うな丼が食いたかったが浜松


うな丼がうなぎの蒲焼を乗せて食うたいそう贅沢で豪勢な食べ物であることを知ったのが、社会人になってからなのだが、ガキの頃はなんかのギャグマンガでことあるごとにうな丼が出てくる話があったんで、名前は知ってたけど、いわゆる今でいうところのマンガ飯ってやつだと思って、本当にそんな食べ物が存在するとは全然知らなかったもんで、そりゃもう青天の霹靂な事態だった。はじめて食ったのがいつだったか、正直言ってあんまりうまいものだとは思わなかったけど、ハンバーグとかスパゲッティみたいな子供向けの料理ではない、大人の食いもんの印象が強くて、それが食えるなんて、おっとなー(大人)なのであったが、いや別にガキの頃食えんかったのはうちがビンボーだったからではなく単に母親の嗜好的な問題だっただけなんだけど、それでも、うな丼を知らずに育ったコンプレックスは、この後、想像を超えるほど人生に影響を与えたので、何なあったらうな丼で景気付けみたいな感じで、よく食ってたんだけど、ツーリングに行っても浜名湖がうなぎ養殖のメッカだったんで、浜名湖うなぎ食うツーリングと題しまして、当時のバイク仲間と走って食ったもんだ。当時はうな丼の価格なってそんなもんだったんだが、時は流れて幾年や、気がついたらうな丼の価格は、原材料の果てしない高騰に起因する市場原理主義的推移で、天文学的な価格設定になっていた。下々の者がおいそれと口にできないシロモノになってきていた。それでも、今や世界第2位の国力を持ちに至った大陸の某国産のうなぎが安かったんで、それが逃げ道ではあったんだが、それもジワジワと上昇してきて、もはやうな丼など口にできない時代が到来してきたのであった。ああうな丼うな丼食いたいなーとよだれを垂らすのがあまりに不憫だったからか、まっちゃんは某激安スーパー、なぜか夏でも店内は氷点下になる某激安スーパー、冬はお客さんがみんなエスキモーみたいな防寒装備で買い物している某激安スーパーで、美味しそうなうなぎ蒲焼が安かったら買ってきてくれて、年に1度か2度くらいはうな丼が食えたんだけど、たまたま、今回は某宅配食材サービスからうなぎ蒲焼を買ってみたよーおいしいかなーとまっちゃんが言うので楽しみにしてたら届いたらしくてゴソゴソ品物を吟味してまっちゃん「ゴメン失敗だった、晩飯は期待しんでな」と言うので何だ何だ瀬戸物プラザかと思いつつ、晩飯の時間を待ち、晩飯に出たうな丼を「わーい」と食おうとしてしげしげとみたら、うなぎが見当たらないのであった。「まっちゃん、うなぎがいないよ」「よく見なさい」「やっぱりいないよ」「よく見なさい」「あ、あった‥‥でもこれは‥‥」細切れのうなぎがご飯に混ぜ込んであった。「うなぎ蒲焼が小さすぎて、こうするしかなかったよ、まあ、ひつまぶしと思ってくれ」「まっちゃんこれはひつまぶしじゃないよ」「じゃあ何だ」「これはうな丼ではなくたれ丼だ」「上手いこと言うねー」食ったら確かにうなぎ本体は美味いんだが、果てしなく細切れで全然食ってる感じがしなかった。たれの味でうな丼を食ってると錯覚させるような実に巧妙なやり方だった。食い終わっても、うな丼を食ったような食わなかったような、実にフラストレーションが蓄積する事態であった。「ゴメン、今回は失敗だった。今度はもっといいのを買ってくるからさ」「うん‥‥」しかし、この溜まったフラストレーションをどうしてくれよう。そうだツーリングに行こう、ツーリングでうな丼を食えば、溜まったフラストレーションも一石二鳥で解決だぜ。と言うことで、ツーリングに行くことにした。


 気がついたら12月も末になってた。今年を締めくくるツーリングだからビシッと決めちゃる。などと鼻息荒くしてたんだが、12月に入ってもいつまでも暖かいなーなどとのほほんとしてたのが嘘のような激烈極寒の寒冷前線超巨大寒気団が来襲し、日本列島は全国的に極寒真冬以下になると言うので、マジかよーライダー死ぬじゃんかよーと思ってたんだけど、このところバイクに全然乗れてないので、どうしても乗りたい何としても乗りたい、天気が良くなりさえすれば多少極寒でも走れるから、晴れてくれーと思いつつ迎えた週末、年末、無情にも雪が降ってきやがって万事休すなのであった。このまま諦められないので、次の日に期待して、次の日にするはずだった大掃除を前倒しで完了させて、次の日に走る!と作戦を臨機応変にしてたんだけど、当日は何とか晴れた。でもゲキサブだと言う予報は最高気温7度だった。おまけに山は雪だと言うので、山がいけないので海に行くしかないと言うことで、必然的に行き先は浜名湖方面になった。この時期の浜名湖方面はジョー遭遇の件もあるので行きたくないなーと思ったけど、バイク乗らないと死んじゃうよー症候群をこれ以上症状が悪化しないようにするためには、どうでも出撃する必要があるので、浜名湖へ行くことにした。そうだ、浜名湖はうなぎ養殖のメッカだ。うな丼食ってこう。よし決定、何十年ぶりかのウナツーだよ。 

行き先も決まったので、当日は朝4時半に起きて、『浜松 うな丼』で検索しつつ、どこの店が一番美味いか調べたら、何軒か良さそうなところがあった。脳内ナビにインプットして、まっちゃん製エッグトーストエルサルバトル風を食ったら、完全防寒体制の準備して、実家新型ガレージに速攻、旗艦CB1300SFを引っ張り出す。エンジンは余裕の一発始動だ。行くぜ出撃! 


まず最初にコスモ石油だ。いつものルートで向かうが、昨日の雪雨の残りの水たまりが全て氷結だよ、キリン缶チューハイだよ、氷結ストロングだよ。間違ってあんなのに乗ったらツルリ滑りコロリだよな。ヤバイヤバイ慎重に走らねば。慎重に走ってコスモ石油についたら、年末の忙しい時期だけあった、千客万来、給油機が空いているところにスルリと滑り込み、急いで給油したら16リットルも入りやがった。たくさん入ったな。まあ、そういう日もあるよな。価格の方はメール会員割引レシートとカード会員割引で126円だった。高いといえば高い。しかし、今の世界情勢から考えればこれが致し方ないか。 


ガソリン満タンである。久しぶりであるな。最近ガッツリ走ってねーからな。今日はガッツリ走っちゃる。コスモ石油を出たら、一旦きた道を戻って、瀬戸方面に向かう。一気に寒波の襲撃を受けて革ジャンの表面温度が急速に低下するのがわかる。そして、指先の感覚はあっという間に麻痺し、自分のものではなくなってしまったように、魚肉ソーセージがくっついてるような感覚になってしまった。これは大変危険な状態だ。が、しかし、この旗艦CB1300SFには秘密兵器が搭載されているのだ! 日本の冬何するものぞ! 前回は「WAKE買ったの忘れてたあー」と大ボケをかましたが、いやマジで存在忘れとっとんだけどさ、おかげで思い出したから、起動させるぜ! いけえーグリップヒーターオン!! ポコポコと光が放たれ、グリップヒーターが起動したぞ。起動したよな。起動したと思う。タブン。だってあんまり久しぶりだから、使い方忘れちゃったんだもーん。 

瀬戸へ向かう日が昇る時間の、辺りはまだ冷え切った空気、田んぼには白い霜が覆い、道路はところどころ凍結の様相を見せる中、駆け抜けるビッグマシーン、信号待ちで止まるたびにエンジンで暖をとるのであった。なんかグリップ全然暖かくなんねーぞ、本当に大丈夫なんだろうな。半信半疑で走っていたら、手首のあたりが生温かくなってきた。そして、掌がぬくぬくしてきた。さらに、これが決定的だ、エンジンで暖をとった指先が、風ですぐ冷えてしまうのに、グリップヒーターオンの効果なのか、指先の冷えの戻りがあまりないのであった。これは、素晴らしいぞ。こんな素晴らしい機能を忘れていたとは、まさにアホなの? バカなの? 死ぬの? の世界だな。

 若干凍結気味の道路でたまにケツを滑らせながら瀬戸から豊田へ、そして岡崎に入った。ここまで通勤中の原付1台のみ、ツーリングライダー皆無だよ。あったりまえだわな。天気予報では想像を絶する危機的状況な寒波が襲来するので不要な外出わ避けて避難してください非常用の食料を3日分用意してくださいと言ってるのに、のん気にツーリングだと、ライダーはまちがいなくアホである。もしくはバカである。バカでも冷えるので、岡崎でちょっと休憩したほうがいいな。寒中ツーリングの基本は、1時間に1回の休憩だとクシタニ名東店の店長が言ってた。それに照らし合わせると、そろそろ休憩だ。セブンイレブンに入りたかったが、あったはずのセブンイレブンが無くなってたので、コンビニの栄枯盛衰なんぞよくある話だからな、いつまでもあると思うなコンビニ店、この先にセブンイレブンがあったのはどこか思い出せないので、仕方がないからローソンに入った。そこでほっとレモンを飲んで休憩した。ヤバイ。実にヤバイ寒さだ。こんなんで浜名湖まで行けるのだろうか。チェックリストに並べたウナギ店に行けるのか。うな丼を食えるのか。くそう、こんなところで考えていたってダメなんだ。ライダーは走ってナンボだぜ。何も考えないで走るんだよ。行くぜ。 

決意も新たに、国道248号線を岡崎市街に向かって走り出す。そしたらすぐにセブンイレブンがあった。ああ、こんなところにセブンイレブンが出来たんか。知らんかった。しまった、もうちょっと走ったらセブンイレブンだったのに、ナナコカードで飲めたのに、ああしまったガッカリだ。まあ、コンビニなんてこんなもんだけどな。 

気を取り直して、岡崎市街で国道248号線から県道26号線でショートカットして国道1号線に入った。久しぶりの国道1号線だな。相変わらず交通量が多い幹線道路だが、年末ということで更にパワーアップしてる交通集中ぶりだった。渋滞とまでは言わないが、今時、最高速度50キロの幹線道路にも関わらず、通常の週末はピー(自主規制)キロとかピー(自主規制)キロくらいで走っちゃってるんだけど、今日はなんと、巡航速度が時速40キロですよ、下手すると30キロくらいまで落ちるですよ。原付ですよ、原動機付自転車。排気量50ccの、黄金時代には年間ウン千万台も売れてたのに、今や絶滅危惧品種なくらいに見かけんくなった、年間販売台数数万台まで落ち込んで、若者のバイク離れの一端を担ってるアレですよ。それくらい遅い。めちゃ遅い。あんまり遅いから道の駅で休憩することにした。 


道の駅藤川宿である。貴重な国道1号線の道の駅。愛知県ももっと道の駅を作って欲しいよ。岐阜県を見てみろよ。100メートごとにあるじゃないか。アレだけあるといつでもどこでも休憩できて安心なんだけどな。色々なしがらみや大人の事情もあるだろうけどさ。とにかく、道の駅に入って、バイク専用駐車場にCB1300SFを止めた。先客が1台止まってた。まあ、こんな大寒波のひにバイクで走るとはバカなライダーだなあ、ってお前もだろ。などと一人ボケツッコミをしながら、でも、流石にこんな物好きなライダーはそんなにいないだろうと思っていたら、Kawasakiの旧車がやってきて、そしてKawasakiの最新型がやってきて、更になんかわからんバイクがやってきて、あっという間に駐輪場は満車になった。お前らみんなほんとにバカだなー。Kawasakiの2台は連れ合いみたいで、ベンチの方でミーティングを始めてた。そのベンチのある芝生にはソロキャンプ用テントがあって、チャリダーが荷物整理してたけど、このテントで野宿したのか? この極寒の地でテント野宿か。スゴイな。相当な防寒装備を用意してきたのか、ただ単に若さゆえなのか。 

道の駅を出て、国道1号線を豊川から豊橋に向かうのだが、相変わらず、巡航速度40キロくらいのタラタラ運転で進むので、豊橋まで3時間くらいかかってしまった。この時点で、もはや開店前にうなぎ屋に突入する計画はオジャンになった。ネットで調べた浜松の美味しい鰻屋さん情報では、やはり美味しい鰻屋さんは行列ができる鰻屋さんであり、開店30分前着が必須なのであった。しかし、この時点で、浜松入りはもはや開店時間をすぎることは火を見るより明らかであった。なんということだ。年末最後を飾るツーリングは見事に失敗した。いやまて、まだ失敗とは限らんぞ。頑張れば間に合うかもしれん。そう思って必死に走った。そして、豊橋を過ぎたらようやく国道1号線も流れが良くなり、浜名大橋の通行状況を確認するために、その高架下のセブンイレブン、いつものこっち方面に来た時に寄るセブンイレブンに止まった。そこで、とりあえずセブンカフェ(アプリクーポン30円引き)とあんまんを買って食って飲んだ。食いながら飲みながら、スマホで地図検索して状況を確認した。最短の距離にある鰻屋まで30分だ。よし行くぞ。 


バイパスに入ってカッ飛んでいく。久しぶりの浜名大橋だぜ。浜名大橋は走るサイコーなんだが、最大の問題は、走ると浜名大橋が見えないんだぜ。制限速度80キロのところをピー(自主規制)キロで走っていく。すると、高度を上げる橋の上、浜名市の全域が広く見渡せるのであった。滅多にないよこんなに晴れ晴れと見えるのは、まるで絵はがきみたい、写真を撮れないのが残念でならない。素晴らしい、と思ったら、向こうに見えるは富士山ではないか! 浜名大橋から富士山が見えるのは初めてだ! いや〜ん、こんなの初めて〜困っちゃう〜いやマジでビックリだぜ、サイコーだぜ、2018年の締めのツーリングに、富士山を拝めるとは、こいつぁ来年はいい年になりそうだぜ! 

で、いきなり道を間違えて、道が全然わからんくなった。おかしいな、浜松西インターの方に向かっていけばいいはずだったんだが、そんな看板全然ないぞ。浜松のカッコイイ形のタワーというか高層ビルが見えて、とりあえずあっちの方に走って行ったらなんかあるんじゃないかと思って、どんどん走って行ったら、なんか見覚えあるところにでた。あ、ここは静岡で一番美味しいパン屋、麻やがあるところだ。麻やでパン買って帰ろうかと思って店に前を通ったら、みんなが大掃除してた。ですよねー。こんな年の瀬までパン焼いてませんよねー。 


ガッカリだぜ。寒いし、道わからんし、鰻屋はどこか完全にわからへん。脳内ナビは今回もやってくれたなー。ちゃんと止まって真面目なナビを見ればよかったな。今やポケットに電子頭脳を持ってるのに、いまだにアナログな発想で走ってるのは何故なんですか。これが昭和世代ですか。もうそういう時代じゃないんですよ。努力と根性だけでなんとかなるようなブラック企業みたいな発想はやめましょう。ということで、来年からはちゃんとスマホを活用してツーリングをしようと思います。 


また、あのチンタラ道路を走って帰れる気にならなかったので、高速道路に入った。途中、高速道路のサービスエリアに入ったら、マクドナルド吉野家はなまるうどんが揃ってたもんで、寒いし、うどんでも食うかと思って中に入った。そしたらマクドナルドもハナマルもすげー行列で、吉野家の行列が一番短かったので牛丼を食うかと思って、そっちに行ってメニューをみたら、うな丼があった! やった! ここでうな丼を食えば、うな丼を食うというミッションコンプリーツできるぜ! 富士山を見た男、オレはツイてるぜ! と思ったけど、一切れ乗って950円もしたのでやめた。やっぱり吉野家で食うのは牛丼の方がいい。冷静に判断して、牛丼を食った。うまかったので良しとしよう。 

あとは高速道路をカッ飛んで帰ってきた。渋滞もなかったのでよかった。 

本日の出費 

ほっとレモン 144円 

あんまんとセブンカフェ 180円くらいだったかな

 牛丼 420円

 本日のCB1300SFの走行距離 230キロくらい

 累計のCB1300SFの走行距離 24610キロくらいかな

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